東京都の節電条例案は効果なし

3/17のこのニュース。石原東京都知事がコンビニ深夜営業規制などの「節電条例」を検討することも示唆したとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20110318-OYT8T00828.htm


続報がないので、この後どういう状態になっているのかわかりませんが、このように自治体や政府が節電策を考えているようですね。私は記事にあるような節電方法は効果がないばかりか、非常に問題のある案だと考えます。記事にあるのはこの方法。

  1. 午後10時以降にネオンを消す
  2. 自動販売機も夜間は消灯
  3. コンビニエンスストアは午後10時以降閉める


私は広島在住なので東京の状況はニュースでしか把握していません。そのため配慮が足りない記述や現状と合っていない記述があるかもしれません。その場合はコメントいただけると助かります。

夜間だけ節電しても意味がない

発電所では水力・火力・原子力などのエネルギーを利用してタービンを回し、発電しています。こうやって作られた電気はすぐに家庭や事業所に届けられ、その時点で使用されます。コストや技術の問題があり、蓄電することはできていません。つまり今使っている電気は、今作られた電気であるというところがポイントです。発電量が足りないと停電になります。いかに電気使用量を予測し、需要に合わせて発電するかが電力会社の力の見せ所です。


参考として、四国電力の発電例を見てください。(非常にわかりやすかったので例として使用します。)原子力と比べ、火力や水力発電は発電量のコントロールがしやすいため、他の電力会社もこのような配分で発電しているのだと思われます。
発電所情報|四国電力


時間帯によって必要な電力量は変わります。電気事業連合会のHP上にあるグラフによると、午前10時〜午後8時に使用電力量が増え、午後3時がピークになっています。
一日の電気の使われ方の推移
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html


このグラフが示すように、夜間の電力量は昼間に比べると少ないです。そして電力をためることはできず、石炭火力・原子力発電の発電量は時間によって簡単にコントロールできません。したがってある程度の発電量は常に発生しています。


停電を防ぐためには夜間に節電することよりも、むしろ昼間に節電した方がよいのです。いくら夜間に節電してもその電力を昼間に回すことはできません。

深夜営業を規制すると起こる問題

コンビニや深夜営業の店を制限すると何が起こるでしょうか。私は大きく2つの問題が発生すると思います。

  • 街が暗くなることにより防犯上問題がある
  • 夜間労働者の職がなくなる
防犯上の問題

コンビニが24時間営業していると、その場所はいつも明るく人がいるということになります。このように明るい場所がコンスタントにあると、夜間も安心して出歩くことができます。何か犯罪にあったとしても、すぐに駆け込むことができます。特に女性にとっては夜間営業しているお店は安心感があります。


また、自宅を持たない人たちの中にはネットカフェや24時間営業のお店(マクドナルドなど)で夜を明かす人も少なくありません。深夜営業を規制すると、こういう人たちは行き場がなくなります。暗い公園などに行かざるを得なくなり、犯罪に巻き込まれるリスクも増えます。

経済上の問題

フリーターにとって、時給の高い深夜労働は生活を支える選択肢の一つです。深夜営業を規制するとこういった労働がなくなり、アルバイト仕事が減ると考えられます。そうなるとフリーターはどうやって生活していったらいいのでしょうか。節電という名目の元に仕事が奪われ、生活できなくなる人が出てくるとすれば、問題です。


このように深夜の節電は、メリットはなくデメリットの方が多いと思います。印象だけで節電=夜に電気を使わないと考えるのではなく、本当に有効な方法を検討していただきたいものです。